福音とは
福音という言葉は主に2つの意味があります。
- よい知らせのこと。古典ギリシア語のエウアンゲリオン(εὐαγγέλιον, euaggelion)の訳語であり、euaggelionのeuが『よい』、aggelionが『知らせ』と訳されます。古典ギリシアの文献の中では、戦いの勝利や出産などの喜ばしい知らせに用いられました。
- キリスト教においては、イエス・キリストの十字架刑による死と復活によって、人類の罪が赦され、救われるという喜ばしい知らせ、またその教えのことをいいます。
ちなみに、アニメの『新世紀エヴァンゲリオン』のエヴァンゲリオンという言葉は、ギリシア語の「エウアンゲリオン( εὐαγγέλιον, euaggelion)」から由来しています。
福音書とは
福音書とは、イエス・キリストの生涯、言行の記録のことをいいます。
正典として認められ、新約聖書に収められているのは『マルコによる福音書』『マタイによる福音書』『ルカによる福音書』『ヨハネによる福音書』の四福音書です。
『マルコによる福音書』『マタイによる福音書』『ルカによる福音書』の3つは共通した記述が多くあるため、まとめて共観福音書と呼びます。
四人の福音記者には『エゼキエル書』に登場する四つの生き物が、それぞれシンボルとして当てはめられています。
マルコによる福音書
四福音書の中で最も古く、最も短いものです。イエス・キリストの受洗から、受難を経て、そして復活に至る生涯を記しています。一般的にはパウロやペテロに従事し、宣教活動を行った「マルコとよばれるヨハネ」が著者であるといわれています。
マタイによる福音書
イエス・キリストが旧約聖書の預言を完成させたメシアであることを示しています。イエスの系図や誕生、受洗、受難を経て、復活に至る生涯を記しています。12使徒のひとりであるマタイが著者であるという説がありますが確証されていません。
ルカによる福音書
冒頭でイエスに関わるすべてのことを調べ、順序正しく書いていると述べており、歴史的に記述されている。イエスの誕生、幼少時代、受洗、受難を経て、復活に至る生涯を記しています。ルカは『ルカ福音書』のほか、『使徒言行録』の著者であるとされています。2つの書は出だしで共通している部分が存在し、2部構成であったと考えられています。
ヨハネによる福音書
四福音書の中で一番最後に書かれたとされます。イエス・キリストの生涯を記していますが、他の3つの福音書との共通点が少なく、この福音書にはヨハネ独自の神学的な視点から語られています。イエスの父なる神との関わりを描き、イエスが神の子であるといういことを強く示しています。
著者は12使徒のひとりであるヨハネという説がありますが、確証はありません。ヨハネは福音書のほかに、『ヨハネの黙示録』『ヨハネの手紙』を書いたとされています。
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