CDやストリーミングサービスで簡単に音楽を聴ける時代になった今、あえてレコードで音楽を聴く人が増えています。
米国では2020年上半期に、レコードの売り上げがCDの売り上げを上回りました。これは1980年代以降初めてのことです。日本でもレコードの人気が再び高まり、多くのアーティストがレコードでも曲を発売するようになりました。
この記事ではそんなレコードに馴染みのない方にもわかりやすく、違いを解説していきます。
レコードの種類
レコードは、収録時間やサイズによって、SP盤(Standard Play)、LP盤(Long Play)、7インチシングル盤、EP盤(Extended Play)、12インチシングル盤に大きく分けられます。
それぞれの特徴
まずそれぞれの特徴を簡単に説明します。
- SP盤(Standard Play)
初期のタイプのレコードで、収録時間は片面約4~5分。LP、EP盤が登場して以降、需要がなくなり、生産は終わっています。
- LP盤(Long Play)
Long Playの名の通り、収録時間が他の盤より長く、収録時間は片面約20~30分。アルバムやクラシック音楽を収録する際、使われています。
- 7インチシングル盤
「シングル」と名称に入っている通り、シングル曲を収録するためのレコードで、収録時間は片面約5分。概ね1~2曲収録されています。
- EP盤(Extended Play)
Extendedは「延ばす」という意味で、7インチシングル盤より収録時間が延ばされ、片面約7~8分。概ね3~5曲収録されています。
- 12インチシングル盤
7インチシングル盤と同じくシングル曲を収録しており、LPや7インチシングル盤より音質が優れています。盤面が大きいため、収録時間が7インチシングル盤より長く、7インチシングル盤に収まらない曲を収録する際にも使われます。
ただ違いはこれだけでなく、「サイズ」、「回転数」というのも種類によって変わってきます。
サイズの違い
レコードのサイズは直径7インチ(17cm)、10インチ(25cm)、12インチ(30cm)の3つがあります。
SP盤、LP盤、7インチシングル盤、EP盤、12インチシングル盤をサイズで分類すると、以下のようになります。
- 7インチ・・・EP盤・7インチシングル盤
- 10インチ・・・SP盤
- 12インチ・・・LP盤・12インチシングル盤・SP盤
ネットショップでの表記
ネットショップでは、レコードのアルバムタイトルの後ろに[12 inch Analog]と書かれていることがよくあります。
[Analog]はレコードのことを意味し、[12 inch Analog]は12インチのレコードのことです。
アルバムの場合、LP。 シングルの場合、12インチシングル盤を指しています。
レコードの回転数
レコードには1分間に78回転、45回転、33 1/3回転するものがあります。レコードに合った回転数で再生しないと、本来の曲のスピードで音楽を聴くことができません。
- 45回転
45回転で再生されるのは7インチシングル盤、12インチシングル盤、EP盤です。回転が速いと、1秒間に再生される溝が長くなるため、音の解像度が増し、音質が良いです。しかし、1曲あたりの収録面積が大きくなるため、収録時間は短くなります。
- 33 1/3回転
33 1/3回転で再生するレコードは主にLP盤、12インチシングル盤です。45回転より回転が遅いため、収録可能時間が長いです。音量や音質では45回転に劣ります。
- 78回転
78回転で再生されるのはSP盤です。SP盤は回転が速いですが、SP盤自体の音質が他に比べ良くないため、45回転のレコードを超える高い音質を持つわけではありません。SP盤は主流のレコードではないため、78回転に対応していないレコードプレーヤーも存在します。
もっと詳しく
レコードの性質上、レコードの外側の方が溝の形状が安定しているため音質が良いです。レコードの中心に向かうほど、溝が狭くなり、溝の形状が不安定になるので音の状態は悪くなります。
そのため、回転数が多く、盤面が広く、曲が短い方が、レコードの音質が良くなります。
まとめ
以上が、SP盤、LP盤、7インチシングル盤、EP盤、12インチシングル盤の簡単な特徴です。下の表にそれぞれの特徴をざっくりとまとめました。
種類 | サイズ(直径) | 回転数 | 片面収録時間 |
7インチシングル盤 | 7インチ(17cm) | 45回転 | 約5分 |
EP盤 | 7インチ(17cm) | 45回転 | 約7~8分 |
12インチシングル盤 | 12インチ(30cm) | 33 1/3回転・45回転 | 約6~9分 |
LP盤 | 12インチ(30cm) | 33 1/3回転 | 約20~30分 |
SP盤 | 10・12インチ(25・30cm) | 78回転 | 約4~5分 |
CDよりレコードは聴くまでに覚えることや手間が多いですが、わかるようになるとレコードならではの魅力が見えてくると思います。